文明の進歩ゆえの。

文明の進歩ゆえのストレスというものを最近感じることが増えた。

例えばトイレ。

昔なら絶対思わなかったはずだが、探してようやく辿り着いたトイレがウォシュレットじゃなかったときのストレスは中々のモノだ。

手をかざせば流れるという最新式のトイレも一回でスマートに流せたことがない。

流そうと何度も必死に手をかざしているあの姿は、まるで証拠隠滅を図ろうと必死になっている犯人のようで滑稽だ。

あと自動開閉式トイレ。

ドアを開けて入るとセンサーで感知して自動的にトイレのフタが上がるというあれだ。

今日、仕事で訪れた古いビルのトイレを借りた時の話。

そのビルは建物こそ古いが、内装やトイレはキレイにリフォームしてあり、快適なトイレの旅が約束されていたはずだった。

鏡の前に一人おり、さぁ僕は個室の方に入ろうとドアを開けた瞬間、センサーが感知してもともと開いていたフタが逆にパタッと閉まったのだ。

まるで『すいません今日は閉店です、またいらしてください』と言わんばかりに丁寧に。

突然の出来事に脳がついていけず、『すいません』と言いながら慌てて開けたドアを閉めてしまった。

すぐに鏡の前にいる男の視線を感じ、恥ずかしくて引き返せなくなりその流れで隣のトイレに入るとそこはなんと和式トイレ。。

落差ありすぎて腰抜けるわ。

まぁ鏡の彼がいなくなるのを待って戻ればいいよなと耳を澄ましていたのだが、なんとも悪いタイミングで新しい奴が入ってきてその最新式トイレを取られてしまったのだ。

僕が座るはずだった最新式トイレ。
一旦は僕を感知したセンサーはもう他の誰かのモノ。

そのあと澄まされたままの僕の耳に飛び込んできたのは無情にも快適なトイレの旅をしてる奴特有の浮かれた鼻唄だった。



結局僕は和式トイレで事を済ませ、今時珍しい水洗レバーを足で強めに押し、文明の進歩ゆえのストレスも一緒に水に流したのである。